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2013年9月

2013年9月24日 (火)

舌鼓が奏でるラブソング、或いはプロテストソング

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昨年、福島から長井市に避難された方々と地元長井の多くの人々の協力を得て、幻の米と呼ばれる「さわのはな」を酒米として生産した。そして福島県浪江町から長井市に蔵を移した「鈴木酒造長井蔵」の手でそれは純米吟醸酒「甦る」となった。

「甦る」は今年の春3・11に発売され、美味さ故、更にわずか700本の限定販売であったためにあっという間売り切れてしまったのだが、その発売に併せて持ち上がったのが「甦る」を製造する過程で生まれた「酒粕」を使っての商品開発の話しである。

食材や商品開発の知識がない私には想像もしていない展開で戸惑ったが、酒粕=発酵食品を使う「商品開発話し」は私にある感慨を抱かせた。

私はその感慨を今年の田植えのあとに開かれた「さなぶり交流会」のプログラムに以下のように綴ったので再度紹介したい。


震災及び原発事故から2年2ヶ月が経過しました。
昨年のさなぶり交流会のプログラムの中で私は「経済を優先する社会から生命を優先する社会への転換を」との願いを込めて「復興は復元ではなく転換」と記しました。そしてそのような思いを抱えながら野菜作りや酒米作りに取り組み、避難者自らが主体となり被災地のために安心・安全野菜を届ける活動=「“絆”循環プロジェクト」を継続してまいりました。それもひとえに市民農場はじめ多くの方々の力添えがあったからこそと感謝致しております。
私が避難し定住する事を決めた長井市はレインボープランで知られているまちです。
廃棄してしまえばただのゴミに過ぎないものを、微生物の力を借り「発酵」させることでそれを生活と環境に有益なコンポストへと転換させる。更にそれを農地に還元させる取り組みを「いのちの循環」と呼ぶ長井だからこそ私たち避難者はこの2年安心して避難生活を送れたのだと思います。
ネット上では最早「棄民」とまで揶揄される福島県人としての私もまた長井の多くの皆様から寄せられた「思いやり」や「共感」という「心の微生物」の働きにより「発酵」させられた一人であります。
思えば私たちは「経済発展」という言葉に惑わされて多くのもの切り捨ててきました。世界史上例のない大規模な環境汚染=原発事故を引き起こし、現在も継続中という現状がある以上、もう「発展」ではなくて切り捨ててきたものを「発酵」させるということにしたらどうでしょう? 避難者、被災者、高齢者、子供たち、女性たちなどなど…。
私はそこに希望を見ます。
「震災&原発事故の記憶の風化」が最近では危惧されているようですが、長井では「風化」しているのではないのです。「発酵」しているのです。
本日の交流会もまた「心の微生物」溢れる「発酵タイム」になることを願っております。みなさん楽しみましょう!


さて、この酒粕を使った商品開発話しと「発酵」という言葉からこじつけた私の思いがピンボールのようにあちらこちらにぶつかりながら、しかし迷うことなく走り出したのが今回の「甦るプロジェクト」である。

洋菓子、和菓子、肉にフランクフルト、販売協力店もある。みな常日頃お客様に美味しいものやサービスを届けるプロとして長井市で活躍されている方々ばかりで、その業界ではアマチュアである私が代表を名乗るのは恥ずかしい限りだが、福島からの避難者としての想いをこのプロジェクトに託すというほとんどその一点だけを目的にその立場を引き受けることにした。

私はかねてから環境から人も含め、地域資源のあらん限りを投入して、外へ外へとグローバル社会に参戦することは資源の枯渇現象を発生させるばかりで、地方都市にとって良いことは一つもないと思っていた。そして現在のTPP問題に至り、それは地方どころか国全体にも当てはまる現象だと考えている。

それを解消し、地域の資源を豊かにするためには、売り上げの一部を地域の社会貢献事業や環境保護事業などに寄付するという工夫が必要だと考えていたが、東日本大震災以降「自分のための消費から、誰かのための消費へ」を合い言葉に「ソーシャル消費」http://diamond.jp/articles/-/13181という行動が静かに進行していることを知るに至り、今回のプロジェクトはそれを「福島救済」のために試す絶好の機会だととらえている。
http://www.amazon.co.jp/スペンド・シフト-―-<希望>をもたらす消費-ジョン・ガーズマ/dp/4833419661/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1380029551&sr=1-1&keywords=スペンド・シフト

今だ「Level 7原子力緊急事態宣言継続中」の現在において、世界で最も正しい行為とは、福島の高線量地域から子供たちを逃がすことである。そしてそれを実践する活動に皆の力を結集させることである。

「甦るプロジェクト」は売り上げの一部を福島の子供達の週末保養活動に取り組む長井市内の団体「葉っぱ塾」http://blog.livedoor.jp/happajuku/に寄付することに決めた。

「長井市まちづくり基金助成事業」でもあるこのプロジェクトは農商工業者と自治体、消費者が一つになって「福島の子供達を救う」という目的を持つものである。

それを実現するためにはできるだけ多くの人が舌鼓を打たなければならない。

それは難しいことだろうか? 

その響きは未来を担う子供達へのラブソングであり、この社会へのプロテストソングでもある。

昨日全てを食べた。「美味い!!!!!!!!」


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